2021-11-23

自然への想いから生まれた「環境芸術の森」

「環境芸術の森」(唐津市厳木町)に行ってきました。

やや見頃は過ぎてましたが、紅葉を楽しませてもらいました!
















この森は、環境芸術家の鶴田正明さんが、
かつて営んでいた造園業の技術を生かし、
約40年かけて造り上げた30haの私有林。

カエデやイチョウなど
1万本以上が植えられていて、
全体が大きな日本庭園のような印象でした。


自然の趣を活かしつつも、

しっかり手入れがされていて、

四季折々にこんなところを散策出来たら

とても気持ちがいいだろうなぁと感じる

ステキなところでした。


ーーー


1980年12月、鶴田さんは、
当時17歳の次男を

原因不明の病で亡くされたそうです。


このことが契機となり、

食べ物と環境問題のことを考えはじめました。


「最終的に人間に必要なのは、きれいな空気、

 それを作り出すのは森である」 

「木を植えて、水や空気をきれいにすれば、

 土も川も海も活力をつけて、

 私たちを守ってくれるだろう」


この思いが、森づくりへの第一歩。


広葉樹を増やすことで、栄養豊富な土となり
雨が降り注ぎ川となり、海へと繋がっていく















「森は海を育てる」といいますが、

その「森づくりは人づくりから」と心に念じ、

山林、原野を昔の森に再生するため、

私財を投じて山野を買い、

「環境芸術の森」の完成を目指してこられたそうです。















100年前に建てられた旧家の廃材で作られた「風遊山荘」、
ここの漆のテーブルに写り込んだ写真が話題になっています。
大型の観光バスでの団体客が来られるなど たくさんの方々が訪れておられるようです。

ーーーー
施設内のスタッフさん、
広く設けられた駐車場の案内の方、

地元の野菜や焼き芋、猪汁を販売するご家族など

を目にして、

この山あいの地に、

これだけの「仕事」を生み出しておられることに、

ただただ感心するばかりでした。















森から海へ、環境を大切にしたい想いを胸に

40年の歳月をかけて築いてこられたのは、

美しい木々や清らかな水の流れだけではありません。


訪れた方々の感動の笑顔や癒しに加えて、

地域の方々のつながりや地元への愛着と誇りなど、

形のない宝が生まれているように感じました。


森づくりの想いが形になり、

それが人づくり、地域づくりにつながっていく

ステキなモデルを見せてもらったように思います。


#環境芸術の森

2021-11-21

ドラッカー「実践者」の報告より (後)

 前編からのつづきです


●シンデレラ商品

ピーター・ドラッカーが命名した「シンデレラ商品」とは、(一見すると)市場規模が小さくて、一定の需要があるにも関わらず、業界の中ではあまり注目されていない商品のこと。

「理由はよく分からないけど、細く長く売れている非主力製品」を、「業界No1シェアを獲得し、世界に打って出る主力製品」にブラッシュアップしていくプロセスを、詳細にご紹介いただきました。

・自社商品の中で、潜在能力を持つ「シンデレラ商品」候補を見つけ出す。
・どこが良いのか、使っておられるお客様に聴いていく
 (自社内では非主力のため意識されていない)
・技術面、製造面でのブラッシュアップのための協力者を探す
・自社内の資源(他分野の技術等)を活用して、さらに強化した製品化
・マーケティング・販売活動からえられた情報を1か所(1人)に集約して、
 お客様の利便性を向上させる工夫
 (情報提供、活用事例提供、お試しセットなど/納期短縮のための仕掛け)

取り組みプロセスや社内に生じる「壁」をどのように超えていくかなど、具体的な実践イメージが伝わってくる内容でした。

ともすれば、技術、性能、カスタマイズ、納期など、どれか1ヵ所だけの改善で終わってしまいがちですが、それらをトータルに強化していくことで、世界的な商品に変貌していく。

中途半端にやるんじゃなくて、やるなら徹底してやり切って初めて成果に結びつくことを、身をもって示していただいた気がします。

「成果は、ドラッカーの言葉の実践から」というタイトルのように、忍耐強く信念を持って取り組む主体者にとっては、とても参考になるヒントが満載の実践事例を紹介いただいたように思います。


●「既に起こった未来」

ドラッカーの「未来予測」の考え方を基に判断して、地方移住したことを軸に語っていただきました。

ドラッカー自身、ナチスが台頭する前に、ドイツを脱出してアメリカに移住しています。

 現在の年齢別人口構成比から、将来の社会イメージを描くように、
 すでに私たちの社会に芽吹いている若芽を見つけて、将来のイメージを描く


このセッションでは、「未来予測」のインパクトが強くて、とても関心を持ちました。
目の前に起こっていること、これまでに起きたことをそうした目で見ていなかったことへの反省も込めて、終了後にネットなどで調べてみました。

ドラッカーの著書「創造する経営者」「すでに起こった未来」などからの引用ですが、印象に残ったフレーズとして
・未来は分からない(予測できない)、未来は現在とは違う
・「既に起こった未来」を探せ
・すでに起こっている状況とその帰結を正しく認識せよ
 すでに発生したことの未来における影響を見通すこと
・すでに起こった未来は、5つの領域の変化から体系的に見つけることができる
 ー人口構造、知識、他産業・他国・他市場、産業構造、組織内部
・誰かが動かす未来を探るよりも、自ら未来を生み出す方が確実

 The best way to predict the future is to create it.


未来を創り出す芽は、既に現在に芽吹いています。
たくさんの芽の中で、何を見るのか、その観察眼を養うことも必要かもしれません。
活動のふりかえりの中から、気づきや学びを得る習慣が、観察眼を育むのかもしれません。
たしかに、過去から現在につながって、未来があります。

未来を創るためのステップとして
「予期せぬものを探しなさい」ーー記録して共有
 「予期せぬもの」に伴う情報を、体系的に収集し役立てる
  私たちの周りに起こる予期せぬものーー人からの連絡、コメント、褒め言葉・苦言、出来事、成功・失敗などなど
②省察
③未来の行動にフィードバック


これは、体験学習サイクルがそのまま活かせそうです。

「予期せぬもの」を探すことは、ナラティヴ・アプローチのオルタナティブ・ストーリーにつながる展開の、起点のような感じがします。

参加して、その場でいただいた刺激から、さらに深い気付きと学びにつながりますね。
ありがたい機会になりました!


ドラッカー「実践者」の報告より (前)

You cannot manage other people unless you manage yourself first.

まず自分をマネジメントできなければ、他者をマネジメントすることはできない


神奈川の友人に声をかけていただいて、「ドラッカー学会16回大会in博多」に参加してきました。


ドラッカーは、セルフマネジメントの重要性を説いています。

セルフマネジメントのためには、しっかりと自分に向き合い、自己認識を深めることが必要となります。

自己認識に有効とされ、世界のリーダーシップ育成に取り入れてられているマインドフルネス。

そうした背景から、「マインドフルネスとドラッカー、そして禅」というユニークなテーマが掲げられていました。


マインドフルネスについては、別の機会に譲るとして、今回は「実践者報告」の中で印象に残ったことを取り上げてみたいと思います。


●「学んでみたいけど自信がない」

「ドラッカーのことを学んでみたいけれど、超初心者なので自信がない」という状態からスタートされて、「これで十分と思うと成長が止まる」と常にふりかえりを行いながら、お店づくりを進めてこられた体験談。

読書会でのご縁から生まれたテント販売などの実践活動の中で、「顧客は誰か」を常に問いながら、「あなたは何によって覚えられたいですか」という問いへの答えが変化していったことを紹介いただきました。

また、常にふりかえりを行う事で、気付きが生まれ、判断が変化して、活動が変わっていくことを見せてもらったように思います。


ふりかえりを徹底して行う、「顧客は誰か」を常に問うなど、背伸びしないけれど自身にとってのテーマを握って取り組むことで、道が開けていく貴重な体験をシェアいただいたと感じています。


私も勉強会や読書会の主催側になることがありますが、「超初心者でハードルが高い」と感じられている方々への配慮はあったのだろうか、と思うと意識が向いてなかったなぁと反省することばかりです。
入り口に立った方が入りやすい場づくりを大切に意識していこうと思います!


後編に続く

2021-11-18

「対話のきくはなすを学ぶ場」#Season3

「対話(ダイアローグ)」は奥深い。本当に魅力的です。

自分の中にある形のない曖昧なものが、

言葉にすることで、形を持って立ち現われる。

語りあうことで、

お互いが大切にしていることが、にじみ出てくる。


自分一人ではなかなか至ることができないモノの見方や捉え方に出会ったり、

そこから派生して、あらたな視界が広がったり。


深い共感が生まれたり、

お互いのアイデアが種となって、

まったく新しいものが生まれたり。

ですが、これまで何年も対話の場に関わってきて、

深い対話の場が生まれることもあれば、

表面的な残念な場になってしまうことも経験してきました。


場数も大事だけれど、

対話の場に参加したり、場を持つだけでは、

ダイアローグの深い魅力に至ることはできないようです。


貴重な一つひとつの対話の場場を活かすためには、

意識的に「ダイアローグ」を行うための練習も必要だし、

考え方の整理も必要、 という想いが心の中で広がっていきました。


そんな思いを持って、

昨年は3回シリーズで対話のきくはなすを学ぶワークショップを開催しました。 その場はとても気付きや学びが深まったように感じたのですが、

1回きりの学びの機会で、実際に日常の対話の場面で意識して使えるだろうか。

そうした疑問が浮かんできました。


単発では限界があると感じて、今年1月からは、

・対話の実践練習の場として毎月1回「対話のきくはなすを学ぶ場」

・日々の歩みを対話の場を通してふりかえる月2回の「キセキのダイアローグ」

を主催の一人として取り組んできました。


「キセキのダイアローグ」では、自らの歩み(軌跡)を言葉にしていきます。

そこから生まれる深い気付きは、ダイアローグの実践としてとても有意義でした。

歩みを言葉にすることを通して、自分自身が大切にしていることが浮かび上がってくることを何度も経験しました。

とても良い場だったのですが、

運営の負担もあって、残念ながら9月まででいったん休止しました。


「対話のきくはなすを学ぶ場」は、Season1(6カ月)、Season2(6カ月)と

対話の基礎力を身に着けることをテーマに場を重ねていきました。

こちらも、回を重ねることで

自分の聴き方や価値観の違いの場面などを、

日常の生活の中で意識できるようになっていきました。

そして、来年1月から新たに、

Season3(3カ月)をスタートすることになりました。



「来年の事を言えば鬼が笑う」と言いますが、

鬼でさえ笑顔になるのば素晴らしい! とポジティブにこじつけて、

来年1月からの対話の魅力を探す旅をご一緒しませんか! 詳しくはこちらからお願いします。 http://ptix.at/1FhCLc


私にとっての「サードプレイス」の1つ「学びの場」が主催する対話の場です。

メタノイアも企画協力しています(^^) 12/21に、だれでも参加できる「対話のきくはなすを学ぶ場 交流会(無料)」を開催します。 http://ptix.at/ITI2fZ

様子だけでも体験してみたい、という方は、ぜひこちらもご活用ください!


2021-11-01

高齢化の時代、私たちはどんな社会を創りたいのだろう?

■高齢者に対する世間の風潮への違和感

今回の衆議院選挙報道やネットなどを見ていると
高齢候補者への厳しいコメントも多く、
引退と若手への移譲を促す論調も少なくなかった。

主義主張に対しては、賛否もあるだろうし、
それについて議論したり、対話することは大いに結構だと思う。

しかし、年齢を切り口に批判することには、とても違和感を覚えた。

表現が過激でなくても、
「おいぼれは引っ込め」という主張は、
「未熟な若造が!」と同じに見える。

そこには、人として相手への敬意を感じないし、
そこに生産的な関係が生じるようにも感じない。

この先に見えてくる社会は、高齢者も含めて誰もがが生きやすい社会だろうか?

これがジェンダーの切り口(「女性は引っ込め」)なら大問題になっていることだろう。


日本の人口構成は、全国平均で約3割が65歳以上。
自治体単位で見ると、50%近いところさえある。
年金支給は65歳から70歳への引き上げも話題に上がり始めている
また、日本の食を支える農業従事者の平均年齢は、令和2年のデータで67.8歳

こうした高齢化が進行している実態も踏まえて考えると
・ジェンダー論と同じ論理で考えると、明らかにシニア差別に見える
・生涯現役を目指してがんばろうとする高齢者には生きにくい社会風潮なのではないか
・社会的な世代間分断を生み出すことにつながりかねない危険性
を感じた。


当事者(65歳以上)ではないので、
その世代の方々がどう感じておられるのか、
想像しかできないけれど、
社会との関わりを億劫にさせる要因になりそうな気がする。

シニア男性が、リタイア後に引きこもりやすいことが問題になっているが
こうした社会の空気感も、一因としてあるのかもしれない、


誰もが等しく年を重ねていく。
今日のシニアは、明日の我が身。


私たちは、どんな社会を創りたいのだろうか?


【10月スタート】2つのダイアローグの取り組み

 10月からダイアローグ(対話)の2つの取り組みをスタートします 仕事以外にこんな活動もやってるよ、というご案内と、10-12月はちょっと忙しくなるかも、という言い訳を兼ねて。以下、長文です。 ライフワークのように取り組んでいるダイアローグ(対話)に関して、来月から2つの取り組み...