2021-11-21

ドラッカー「実践者」の報告より (後)

 前編からのつづきです


●シンデレラ商品

ピーター・ドラッカーが命名した「シンデレラ商品」とは、(一見すると)市場規模が小さくて、一定の需要があるにも関わらず、業界の中ではあまり注目されていない商品のこと。

「理由はよく分からないけど、細く長く売れている非主力製品」を、「業界No1シェアを獲得し、世界に打って出る主力製品」にブラッシュアップしていくプロセスを、詳細にご紹介いただきました。

・自社商品の中で、潜在能力を持つ「シンデレラ商品」候補を見つけ出す。
・どこが良いのか、使っておられるお客様に聴いていく
 (自社内では非主力のため意識されていない)
・技術面、製造面でのブラッシュアップのための協力者を探す
・自社内の資源(他分野の技術等)を活用して、さらに強化した製品化
・マーケティング・販売活動からえられた情報を1か所(1人)に集約して、
 お客様の利便性を向上させる工夫
 (情報提供、活用事例提供、お試しセットなど/納期短縮のための仕掛け)

取り組みプロセスや社内に生じる「壁」をどのように超えていくかなど、具体的な実践イメージが伝わってくる内容でした。

ともすれば、技術、性能、カスタマイズ、納期など、どれか1ヵ所だけの改善で終わってしまいがちですが、それらをトータルに強化していくことで、世界的な商品に変貌していく。

中途半端にやるんじゃなくて、やるなら徹底してやり切って初めて成果に結びつくことを、身をもって示していただいた気がします。

「成果は、ドラッカーの言葉の実践から」というタイトルのように、忍耐強く信念を持って取り組む主体者にとっては、とても参考になるヒントが満載の実践事例を紹介いただいたように思います。


●「既に起こった未来」

ドラッカーの「未来予測」の考え方を基に判断して、地方移住したことを軸に語っていただきました。

ドラッカー自身、ナチスが台頭する前に、ドイツを脱出してアメリカに移住しています。

 現在の年齢別人口構成比から、将来の社会イメージを描くように、
 すでに私たちの社会に芽吹いている若芽を見つけて、将来のイメージを描く


このセッションでは、「未来予測」のインパクトが強くて、とても関心を持ちました。
目の前に起こっていること、これまでに起きたことをそうした目で見ていなかったことへの反省も込めて、終了後にネットなどで調べてみました。

ドラッカーの著書「創造する経営者」「すでに起こった未来」などからの引用ですが、印象に残ったフレーズとして
・未来は分からない(予測できない)、未来は現在とは違う
・「既に起こった未来」を探せ
・すでに起こっている状況とその帰結を正しく認識せよ
 すでに発生したことの未来における影響を見通すこと
・すでに起こった未来は、5つの領域の変化から体系的に見つけることができる
 ー人口構造、知識、他産業・他国・他市場、産業構造、組織内部
・誰かが動かす未来を探るよりも、自ら未来を生み出す方が確実

 The best way to predict the future is to create it.


未来を創り出す芽は、既に現在に芽吹いています。
たくさんの芽の中で、何を見るのか、その観察眼を養うことも必要かもしれません。
活動のふりかえりの中から、気づきや学びを得る習慣が、観察眼を育むのかもしれません。
たしかに、過去から現在につながって、未来があります。

未来を創るためのステップとして
「予期せぬものを探しなさい」ーー記録して共有
 「予期せぬもの」に伴う情報を、体系的に収集し役立てる
  私たちの周りに起こる予期せぬものーー人からの連絡、コメント、褒め言葉・苦言、出来事、成功・失敗などなど
②省察
③未来の行動にフィードバック


これは、体験学習サイクルがそのまま活かせそうです。

「予期せぬもの」を探すことは、ナラティヴ・アプローチのオルタナティブ・ストーリーにつながる展開の、起点のような感じがします。

参加して、その場でいただいた刺激から、さらに深い気付きと学びにつながりますね。
ありがたい機会になりました!


1 件のコメント:

  1. 何をしたいのかが大事でしょうねぇ...それは何のためか、誰の為か....。と繰り返し問う事の重要性は時の在り方をふと感じる瞬間があります。自らが進んで生きているのではなく、いわゆる生かされているんだと言う実感ですかね?和の日本人的人生感です。
    吉弘。

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