10月中旬、壱岐の辻の原遺跡を訪れ、「歩行ラリー研修体験」をさせていただきました。
今回、壱岐で歩行ラリー研修の体験をさせてくださったのは
2018年に福岡市から移住された小林伸行さん。
小林さんは、初期のころからこの「歩行ラリー」に関わってこられた
矢田昌宏氏を代表とする「一般社団法人みらい環境研究会」の理事を務めておられ、
壱岐での歩行ラリー研修の実務的な責任者です。
今から60年ほど前のことです。
当時は中学卒業生が集団就職する時代で、
トランジスターを製造していた厚木工場では歩留まりが低く、
経営状態は良くなかったそうです。
そんな中で、出版業界出身のソニー元常務の小林茂氏が、
専門外のソニーの厚木工場長に就任。
小林茂氏は、「モノ造リは、生産の技術改善だけでなく、
むしろ直接作業する人たちの自発的良心によるところが大変重要である」
として、タイムレコーダー廃止のエピソードに代表されるような、
自主管理を大切にする「信頼に基づく人間中心主義的経営」を展開していかれたそうです。
当時の変革途上の厚木工場で
トイレ掃除を担当していた女性は、
その4、50年後に当時を思い出して
「あれは夢だったのかもしれない」
と口にされていたそうです。
当時は、工場に早く出かけたくて気がせく毎朝だったとのこと。
また、小林茂氏は、マネジメントサイクルの体験学習として歩行ラリーを実践。
これがQC活動のきっかけとなり、
生産現場と研究開発が一体となって活性化したそうです。
社員各人が本来的に持つ「自ら考え、自ら動く力」を疑似体験する場として、
この「歩行ラリー」は、ソニーグループ内に留まらず、
他の日本企業にも広がっていったようです。
東京ガスや富士ゼロックスを始め、
数多くの組織で取り組みが行われたそうです。
冒頭でご紹介した
「一般社団法人みらい環境研究会」の代表理事・矢田昌宏氏は、
この初期の段階から携わっておられ、
他社への普及にも大きく貢献してこられたそうです。
■今回の壱岐での体験を通して
今回は、原の辻遺跡の王都復元公園を中心に、
通常の初回コースの約半分の30分程度の体験コースを用意いただいていました。
2人組でスタートしたのですが、
ゴールするまでに約3倍の1時間半程度かかってしまいました。
小林伸行さんによる事前レクチャーを受けた後、
今回、歩行ラリーの実体験をさせていただいたことは、
とても貴重な機会になりました。
歩行ラリーの体験の持つ強烈なインパクトは、
決して座学では至ることのできないものでした。
今回、実際にその一端を、少しでも味わうことができたことで、
頭の中での理解とは違うものが入ってきた感覚があります。
アプローチの仕方は様々あれど、
人が変容していくプロセスにおいて、
大切なことは本質的に同じなんだと
改めて確認させてもらった感じです。
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