2001年4月 オットーの自宅にて
複雑な現実を理解する上でシナリオ・プランニングの果たす役割
「無意識のうちに人は一つのシナリオを想定して行き詰まることが多い」「地球上に生きる人類は何者なのかという点で、一つのシナリオに固執して行き詰まっている」(ベティー・スー)
「われわれの仕事の第一歩は、人と人がもっと深く知り合い、課題や目的意識を共有する手助けをすることではないか」
「複数のシナリオを考えることによって、無意識の想定への個室から解放される」(ピーター)
集団のなかで何かが変わる『魔法の瞬間』について
●南アフリカの事例・80年代半ば~ アングロ・アメリカン・コーポレーション主導/黒人は蚊帳の外
シナリオ『低い道』アパルトヘイト政策を続け世界から孤立
シナリオ『高い道』アパルトヘイトに終止符を打ち、世界の一員として復帰
⇒ 国民の間で2つのシナリオについての議論、影響について考える
未来のシナリオは自分たちで選べるのだ、という考えが強まった
・91-92年 モンフレールのシナリオ アダム・カヘン/シェルが資金協力
『オストリッチ』白人の現政権が問題に正面から取り組まず、砂に頭を突っ込む
『レイムダック』黒人政権が誕生するものの、憲法で制約を受け、手足を縛られる
『イカロス』新政権が大胆な経済改革を実施、土地と企業の国有化、経済システム破綻
『フラミンゴ』なかなか飛ばないが、飛ぶときは一斉に飛ぶ
明らかに参加者の考えが変わり、心が開かれた瞬間があった
数多く行われてきたシナリオ・プランニングと何が違うのだろう?
「小さな集団でも、全体の目的を深く結びついた時、全体を代表する縮図になり。全体を変える力を持つのだと思う」(オットー)
●ビジョン・グアテマラ アダム・カヘン
36年間の内戦、20万人が『消された』/人口800万のうち50%はマヤ・インディアン
・『魔法の瞬間』
初対面で、敵対していた人たちが目的を共有できた秘密は、5分間の出来事
内戦時、地方のマヤ族の村での大量虐殺の墓の発掘から殺された妊婦と胎児の骨
「その瞬間、共通の意思と目的意識が明らかになり、なぜそこにいるのか、何をすべきなのか、全員が理解した。自分たちがおかれた現実を、その内側から深く見つめたようだった」(アダム)
・「われわれはアイデアを持ち寄ったのではない。目的を持ち寄ったのだ。われわれは合意した。そして決定した」(マヤの聖典「ポポル・ブフ」の一節)
一瞬、静まり返った。言葉がなかったのではない。理解が訪れたのだった。
●『静寂があるところでのみ、真のコミュニケーションが成立する』(クリシュナムルティ)
・生涯をかけて「静寂を聞く」ことを学ばなければならない
・心が開かれ「内側から」見ることができる
・誰もが目的を垣間見ることができる
・起ころうとしているのにふだん気づかない何かが聞こえ、目に見え、理解できる
・自分とつながっている大きな現実は、開かれ、立ち現れる。
・自分もその出現する現実の一部、出現する未来は自分次第で決まる、繋がっている
・受け身じゃない、積極的に関わっていく部分が大きい
もう一つの時間の流れと一体になるには
●オットー家の築350年の農家の火事・炎が自分の中に溶けていく
・時間の進み方が遅い
・火事で焼かれたものにどれだけ愛着を持っていたか
自分という存在は、火事で亡くなったわけではない。見る側だった!
・過去とは無関係の次元の自分
・時間が完全に止まった
・意識が広がり、これ以上ないほど明晰になった
・焼け跡でくすぶっている夥しいモノと繋がっているわけではない
・長年愛着を感じてきたものは、実は重荷になっていた
何もかも失くしたその瞬間、突如として解き放たれ、別の自分に会える気がした
その自分が僕を未来にー僕の未来に連れて行ってくれた
自分が生きることで実現する世界へと連れて行ってくれた
やさしく未来の可能性へと引き入れてくれたもうひとつの時間の流れと一体となるには、何が必要なのか
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シナリオ・プランニングの中でも、
全体の目的と深く結びつく「魔法の瞬間」は
意図して創れるものではないだろうが、
『静寂を聞く耳を持つ』ことは必要条件かもしれない。
この体験からの探求が
オットーをジョセフの元への導き、この場を創った。
今日はここまで。
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