本日午前は、「インターベンション・スキルズ」の読書会
「第5章 介入のタイプと深さ」の介入の深さのつづきから。
この節の冒頭で、タスク・グループを蒸気船タイタニック号に例えるのは興味深い。
・乗客:グループ・メンバー(口に出さないが自分の思いがある)
・乗組員:効果的なメインテナンスとタスク遂行に責任を持つ
マネージャー、コンサルタント、リーダー
熟練してない&トラブル対応の危機管理計画なし
・目的:遠方の港に着くこと(ただし、どのようにたどり着くかを示す航海図はない)
そして、どんなグループでも設定されると、そこにダイナミクスの「氷山」が存在する
・なすべき仕事は、メンバーに合意されており、コンテントとして水面上にある
・水面下には、隠れたタスクとメインテナンスのダイナミクスがある
図は原著のグループダイナミクスの氷山図。
Lv1 コンテント:なすべき仕事
Lv2 目に見えるグループの問題
Lv3 目に見えない、核となるグループの問題
Lv4 価値、信念、前提:基本ニーズ;内包、統制、親密さ
Lv5 無意識
より深いレベルは、より浅いレベルに表出し、
より浅いレベルは、より深いレベルに影響を与える
グループプロセス・コンサルタント(GPC)は、Lv1,2で観察される行動パターンからLv3を推測しつつ、主にLv2とLv3に介入する、とされる。
Lv4は個人の最も変化しにくい特徴(P74)とされる。
Lv4に介入する感受性訓練(ST)が、1960年代にアメリカ企業でよくないイメージや悪評を立てられた(P74)ことも踏まえ、過度な自己開示や対峙につながり混乱を生じさせるLv4への介入は推奨されないのであろう。
また、GPCの介入目的がタスク遂行のためと考えると、「グループの問題として出てきていること」(Lv2,3)をグループとして取り扱うことにフォーカスした方が良い、とも考えられそうだ。
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さて、この読書会の良いところは、クライアント組織に関与してきた経験を持ち寄って、匿名ではあるが具体的な事例を交換できることにある。
また、そうした事例を共有すると、組織は全く異なっていても、同じような事象が起きていることが分かり、とても興味深い。
中堅幹部クラスと、AI(アプリシエイティブ・インクワイアリ)を活用した将来イメージを語り合うと、経営者からは「現実を見ていない甘さ」「おままごと」「抽象的な理想論」のように見えることがよくある。また、社内の顕在化していない深い課題を無視しているように感じることもあるようだ。
それは、現実の厳しさに直面してきた経営者のシビアな判定かもしれないし、ポジティブ・アプローチの手法に関する共有不足かもしれない。
経営者自身は、その思いを口外するとメンバーのモチベーションが下がることもわかっているため、気を揉みながらも口にできないもどかしさを感じていることもある。
しかし、その経営者の想いを共有してもらうことで、言葉の背後にある経営者自身の様々な側面を知る機会にもなり、共に進んでいくことを確認する機会にもなるため、まんざら悪いことではない。
また、現場に近い立場ほど、「目の前の課題を解決したい」ニーズが高い。
そして、メンバー間の異なる意見や考えを分かち合うことについても、
・分かち合うなら、最後は一つにまとまるべき
・まとまらないなら、分かち合う必要はない(かえって分断が表面化するだけ)
と考える人も少なくない。
そういう方々の「まとまる」イメージは、暗黙の前提として、合意形成されている状態というよりも、「(何かが)決まった状態」を指すことが多い。そのために、「トップが決めてくれ(俺たちは従うから)」「多数決で決めよう」ということになる。
しかし、こうして「決まった」ことは、表面的には上手くいっているように見えても、実行する段階での推進力が弱いことが多い。
「決まった状態」を目的にしているのか、「決まったことが実行されること」を目的にするのか、この暗黙の前提にも留意することも必要となる。
成人発達理論の観点から見ると、組織の状態は経営者の発達段階によっても大きく左右される。介入にあたっては、こうした面も考慮に入れる必要があるかもしれない。
私自身が現場で体験してきたこと、感じてきたことを、他の方々からお聞きすると、組織は違っても同様のことが起こることに、何かしらの普遍性があるような感じがする。
これは、クライアントの組織には一人で取り組むことが多いため、これらの事象が「その組織の特殊性」なのか、普遍的に起こりうる状況なのか判断がつかないことも少なくない。
こうした学びの機会は、貴重である。
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