2021-12-06

企業の話し合いの場での気づき

今日は、関与先の企業で、話し合いの場をオブザーブする機会がありました。

話し合いのテーマや予定スケジュールなどがしっかり提示され、また説明が必要なところは、進行を担当する方が適宜スライドを投影しながら分かりやすく進めておられました。

また、イスだけのサークル形式を選択されていて、誰でも意見を言いやすそうな雰囲気が伝わってきました。

うまく取り組まれていること、苦戦されているところなどもいろいろと目に付いたのですが、そうしたことからも刺激をもらったので、備忘も兼ねて2,3書き出しておきたいと思います。



●チェックイン

今回も話し合いの冒頭でチェクインが行われました。

チェックインでは、進行担当者が、形式的に取り組むか、意図を持って取り組むかによって、場の雰囲気や関わり方が変わってきます。

最初に口を開くことで、

1. 意見を言いやすくする

2. お互いの状態を確認し合える

3. 始まりの固さが取り除かれ、場がほぐれる

などの効果が期待できそうです。

意識して取り組んでいただけると、より良い場が生まれることと思います。

 

●決めることと意見を出すこと

今回、あるテーマについて、進行者の方が、 参加者一人ひとりに意見を発言するように促される場面がありました。少し時間が掛かりましたが、お互いに考えていることの背景や立場を選択した理由が共有できて、参加者同士の気持ちの距離が近くなったように感じました。

職場の会議などでは、限られた時間内で物事を決めないといけないことがほとんどです。

この件はもう少し意見を言っておきたいと感じても、時間が気になって決めることを優先して配慮する想いがわくと、「ここで意見を言うと、かき回してしまうんじゃないか」などと発言することへの心理的ブレーキがかかることがあります。

 ですが、何のために決めるのかというと、次の行動選択につなげるためです。

ときどき、決定して実行段階になってから、ある程度の役職者であっても「俺はあの決定には反対だったんだ」という方がいらっしゃいます。こうなった場合、実行段階ではものごとが円滑に進みにくくなります。

決定したことをその後の行動につなげる上では、それぞれが自身の意見や選択の理由や背景、考えを場に出しあうことは、とても大切なことです。

少し時間はかかりますが、お互いの想いが場に共有されていくと、結果として、納得感のある結論に至ることが多いようです。

多様な意見が場に出ると、その結論は、当初想定もしなかったようなまったく別のアイデアに至ることもありますが、それが話合いの醍醐味でもあり、また納得感の高いものになります。

結果として、決まったことを達成することへのコミットメントが生まれ、積極的・意欲的に取り組む、互いに協力し合うなど、行動につながりやすい状態になることが多いようです。

 

逆に、決めることを優先して、「どれにするか」「何をやるか」にフォーカスし過ぎると、「何のために決めるのか」が置き去りにされてしまい、決めること自体が目的化してしまいます。

そして、多様な参加者が、多様な視点から、様々な気付きを持って話し合いの場に臨んでいるにもかかわらず、特定の人の意見を選ぶような意思決定になってしまうことが多いようです。

結果として、「決定」への納得を得られないために、決まったことが実行されなかったり、実行段階で協力的でないなどの問題が、しばしば起こります。


●難しいテーマを取り扱う

様々なとらえ方や考え方があって、結論が見えにくい複雑な問題を取り扱う時は、ファシリテーターも緊張したり、ついつい力が入ってしまいがちです。

ファシリテーターは、「自分が仕切ってまとめ上げなきゃ」と気負い過ぎると、誘導的になり納得感の低い決定になる場合があります。

その場にいる誰もが、意見を言いやすい場づくりができていれば、

 ・あまり難しく考えずに、ざっくばらんに思っていることを出してもらう

 ・進め方も含めて、場にいるメンバーとキャッチボールしながら進める

といったアプローチの方が、意外とうまくいったりします。


組織内での話し合いの結果、決まったことが取り組みにつながるかどうかは、
組織運営上の大切なポイントになりますので、
話し合いをどのように進めるかは重要ですね。

会社のような組織においてこそ、話し合いを進めるファシリテーションのスキルを磨いておきたいものです。




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