2021-07-11

「ナラティヴ・セラピー・ワークショップ」(2) 第2章

予定が重複して本日の ナラティヴ・セラピー・ワークショップ」(国重 浩一著)の読書会に参加できなかったので、第2章を一人で読む。

とても興味深くて、読んでいるうちに引き込まれる!


第2章 ナラティヴ・セラピーの特徴的な技法とは?:外在化する会話法

◆自分の理解のための独断的な要約

私たちの会話は、その場や話してる相手の影響を受けて成り立っている。

何か失敗して、怒られるとき、どちらの立場の人も「好きでやってるんじゃない」と感じている 。

日常によくある「どうしてそんなこと(遅刻、忘れた、怒ったなど)したの」という問いかけは、自責の念や反省を促したり、反発を誘うだけの会話になる。ナラティヴ・セラピーでは、その枠組みから離れるために「何があなたをそうさせているのですか?」という問いかけに代表される「外在化する会話」に誘(いざな)っていく。

伝統的な心理学では人それぞれに固有で固定的なパーソナリティー・性格・人格が内在しているとみなし、それを性格検査などで判断する。一方、ナラティヴ・セラピーでは人は様々なパーソナリティを持てる存在と捉え、その場に応じた役割を演じ、適したことができる存在とみなす。

日常会話も専門家の言葉も、社会で認められた言葉や表現を繰り返し使用すること(=「再生産」)によって、 「真実」「当たり前」になっていく。何気なく使う言葉の再生産、つまりそのように語られる枠組みが繰り返されることによって「その問題」はずっとそこに留まり続ける。困った状態(問題)を本当に変えたいのであれば、再生産ではなく違ったように語り始める必要がある。

例えば、「問題行動を繰り返す人」「落ち込んでる人」に対して、あたかもその人の内面にある要因でそうなっているとみなすように「語る」のではなく、「社会文化的な要因の影響を多分に受けてる人」とみなして話をしていく。

支援・援助・アドバイスなどを提供するカウンセラーと、それを受けるクライエントとしての立場で語り合えば、その立場からのことばが紡がれる。

ナラティヴ・セラピーで目指すのは、自分の人生について最もよく知っている人に、「私の理解を助けてください」「教えてください」と相手がより知っているという前提で、自分よりも上の存在に対して話を聞くように関わっていくことで、語り手の位置付けを変える文脈を提供すること。

相手にどのような文脈で語ってほしいか 、どういう立場から語ってほしいのかを踏まえて関わっていく。

今の問題の原因を過去に探すアプローチでは、何度も繰り返し語られ、強化され、固定化されていき、(過去に起きた事実は変えられないので)将来にわたってずっとそうだという因果関係に基づくメインのストーリーライン(支配的な物語)が成立してしまう。

ナラティヴ・セラピーでは、例えば支配的な物語に矛盾するような出来事など、その中では漏れ落ちてしまっている話を尋ねていく質問を用いて、その物語をほぐしていく。

ーーー

◆所感など

●社会で認められた言葉や表現を繰り返し使用することによって 「真実」「当たり前」になっていくという「再生産」の説明は、プロセスワークのコンセンサス・リアリティを彷彿とさせる。

●「お元気ですか」などの挨拶のことばは、状況の詳細について尋ねているわけではなく、応える方もその場に適した、妥当だと思うことを話していて、しっかり自分の気持ちを反映させているか否かはコミュニケーションの目的ではない。(p52-53)

言い切ったなぁ、という印象。

挨拶は「あなたに意識を向けてますよ、関心を持ってますよ」というメッセージであり、応答は「ありがとう」という返信のような感じかな。

●「信じている、本当だ、当たり前、誰もがそう思っている、と考えられることをちょっと怪しいな、と思って眺めてみる」(p55-56)

→ 自分自身もこのタイプだと思うけど、周りの方から見たら、変な人、嫌な人だろうなぁ、と。。。

●アドラー心理学との関係についてのメモ

・「私を怒らせないでちょうだい」(p52)

 叱ることの目的は?と捉えるアドラー心理学/目的論、使用の心理学から捉える

 自分の「ライフスタイル」を意識してみるが、自分を責めることにもなりかねない

・再生産(p55)=アドラーのライフスタイルに近い?/繰り返し行われてきたこと

 →「そのようなことがあったにもかかわらず・・・」に似ているかも

 


#ナラティヴ

#外在化

#支配的な物語

#社会構成主義

#アドラー


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